《医師直筆》座れない!椎間板ヘルニアや坐骨神経痛の座り方
こんにちは。からだプラン代表医師の橋本です。普段は内科医として働いています。
今日は、整形外科の範囲ですが、腰痛や、椎間板ヘルニア、坐骨神経痛のお話を、治し方や正しい座り方までお話ししたいと思います。
ちなみに、私はサッカーをずっとやっているのですが、中学生の頃からの腰痛もちです。
そんな私が、腰痛に恨みを込めて、今回の記事を書きたいと思います。(´◉◞౪◟◉)
腰痛についてはYouTubeでも解説しています!動画で学びたい方は是非覗いてみてくださいね!
それではいつも通り、先日あった外来での会話をご紹介したいと思います。
患者さん
「こんにちは先生。あれ、何で立ち上がってるの?」
橋本
「はいこんにちは。いやね、腰が痛すぎて座れないのよ。」
患者さん
「先生お若いのに。大丈夫?よしよし。」
橋本
「これじゃあ、どっちが患者か分かんないな。(´・ω・`)」
患者さん
「もしかして坐骨神経痛?」
橋本
「そそ。俺の場合は椎間板ヘルニアからきてるものだけどね。」
患者さん
「ふっふっふ、どうだ、患者さんの気持ちが分かったか~。これに懲りて普段から私達に優しくするんだな~。ウリウリ~。(´◉ ౪ ◉)」
橋本
「くっそ~~。本当に辛いんだよおおおお。(/ω\)」
という事で、今日は「長時間座っていると痛い腰痛」について書いてみたいと思います。
目次
☆ヘルニアや坐骨神経痛の前提となる医学的な知識
まず、椎間板ヘルニアや坐骨神経痛を正しく理解するために、必要な前提となる医学的な知識についてお話したいと思います。
人は重力に逆らって生きている
ご存知の通り、人間の身体は重力の影響を受けて生きています。
物理学的に言うと、重力とは「万有引力」というもので、重さがあるもの同士が引き合う力になります。
人間は地球と引き合っているので、地球にくっついているという仕組みです。(すでにちょっと難しい(+_+))
つまり、人間は起きているだけで、体に負担がかかっている、という事になります。
まずはこの事を頭に入れておいてくださいね。(^^♪
身体の中で一番負担が大きい所は「関節」
次に、身体の中で一番、負担がかかってしまう部分はどこでしょうか。次の二つから選んでみてくださいね。
①腰やひざなどの曲がっている部分
②そうでない部分
直観的に分かった方はすごいと思います。答えは①です。
ちょっと難しいと思うので、次の絵を見てみて下さいませ。
なんて可愛い絵でしょう。ありがとうございます。
人は重力で引っ張られているというお話をしました。一方で立っているためには「抗力」という力で、地面に反発しています。
さて、左の人と右の人のどちらが、腰に負担がかかっているでしょうか。
そうですね、力同士が交わってしまっている右の人の腰の方が、負担がかかっているのが分かりますか。
このように考えると、腰や膝などの曲がっている部分が、一番負担がかかってしまうのです。
つまり、「関節部分」が、人間の身体で一番負担がかかる場所になります。
変な姿勢を続けていると症状が出てくる
改めて考えてみると、地球上の生物は、海の中で浮力を使って生きていました。
しかし、爬虫類や人間を含む哺乳類など、地上で生活するようになった生き物は、重力の影響をもろに受けてしまいますので、関節に負担がかかってしまいます。
そしてその時に、変な姿勢をずっと続けていると、負担がかかりやすい場所に痛みが出てきてしまいます。
その、負担がかかりやすいのは、先ほどお話した、骨と骨がくっついている場所である関節というわけです。
人間の身体には沢山の関節がありますが、特に負担がかかりやすい場所は、首と腰と膝です。
それらを痛めないためには、正しい姿勢を学ぶ必要があります。
後ほど詳しくご説明いたしますね。(^^♪
☆腰の痛みとは言うけれど
腰の痛みと一口で言っても、急に痛くなるもの(急性)と、いつも何となく痛いようなもの(慢性)の二種類があります。
また、前かがみになると痛みが出るものや、後ろにそると痛みが出るもの、それ以外のもので、やはり原因が異なります。
原因が異なれば、当然治療も変わってきてしまいますので、正しい診断をする必要があります。
椎間板ヘルニアを見分けるSLRテスト
腰痛の診断の仕方については一言で説明する事は難しいのですが、椎間板ヘルニアかどうかを見分ける簡単な方法の一つとして、SLRテストという方法をご紹介します。
SLRテストというのは、仰向けになった状態で、片方の足を延ばしたまま、ぐぐぐっと上にあげていくというものです。
もし椎間板ヘルニアであれば、ある程度まで上げていくと、腰やお尻に痛みやしびれが走ってしまいます。
はい、私はこれ、すっごく痛いです(´・ω・`)
繰り返しますが、腰の痛みだと思っていた時に、別の病気が隠れている事もあるので、注意が必要です。
もし腰が痛くなって治りが悪い場合には、決して無理をせず、我慢をせずに病院を受診してくださいね。
☆椎間板ヘルニアとは?
まず、椎間板ヘルニアについて説明します。
腰椎の間にある椎間板という部分の「髄核」という部分が外にはみ出してしまい、炎症が起きて痛みを出してしまっていたり、それが神経に触れてしまってしびれを出してしまっていたりするものです。
簡単に説明すると、一つ一つの背骨の間のクッションがつぶされて外にはみ出してしまい、炎症が起きていたり、神経に触れてしびれをきたしているという事です。
☆坐骨神経痛とは?
まず、坐骨神経とは、腰のあたりから足の先まで伸びている、人体の中で最も太い神経です。
そして、何らかの刺激で圧迫され、坐骨神経に触れてしびれや痛みを出している事を「坐骨神経痛」といいます。
☆椎間板ヘルニアと坐骨神経痛の関係
この坐骨神経痛は、椎間板ヘルニアと密接な関係があります。
先ほどお話しした、背骨の間のクッションが外にはみ出した部分が、坐骨神経に触れてしびれなどをきたしている状態を、椎間板ヘルニアによる座骨神経痛と言っています。
どうしてそうなってしまったかというと、やはり姿勢が間違っていたために、本来なら身体中で分散されるはずの重みが、腰に集中してしまった可能性があります。
また、座っている姿勢というのも、とても腰に負担をかけてしまいます。
椎間板ヘルニアによる坐骨神経痛はとても辛いものです。
☆椎間板ヘルニアや坐骨神経痛の治し方
そんな椎間板ヘルニアや坐骨神経痛ですが、具体的にはどのようにすればいいのでしょうか。
現実的なものをいくつか挙げてみますので、出来そうなものを採用してください。
①普段から正しい姿勢をとる
正しい姿勢は、壁を背中に着けて、後頭部と肩甲骨とおしりとかかとがきちんとくっついている姿勢です。
そのために意識する事は「顎を引く」「肩を開く」「腰をそる」「膝を伸ばす」「重心は身体の後ろの方に」ということです。
壁を使って一度確認してみて、普段から心がけるようにしてください。
慣れてくると、いかに普段から自分が前かがみの姿勢だということに気づくと思います。
②正しい姿勢で座る
そもそも座る姿勢自体が腰に負担がかかってしまうのですが、座っている姿勢にも負担がかかりにくい姿勢があります。
それは、膝とお尻の部分を90度の角度にして、背筋を伸ばす事です。
肛門の部分ををキュッと閉めて座るように意識するといいと思います。
これを「骨盤を立てる」と言います。
この座り方を意識してみてください!
③座っている時間を短くする
デスクワークの人は、トイレに立ち上がったり、よく歩いたり、同じ姿勢を続けないようにすることが重要です。
色々な姿勢を取るようにしましょう。
④椅子を少し高めに、そして固めにする
そもそも座る姿勢自体が腰に負担がかかってしまうのですが、柔らかい椅子は、骨盤が寝てしまい、腰に負担をかけてしまいます。
なので、なるべく固い椅子に座るようにしましょう。
⑤バッグを軽く、出来ればリュックサックに
私はパソコンにこだわりがあるので、かばんがとても重いです。
また、リュックは大嫌いで、私の中でこの項目に関しては不採用にしていますが、可能な方は是非検討してみてください。
⑥布団を固く、枕を低くする
なぜこうするのかというと、柔らかい布団や高い枕は、寝返りを困難にしてしまい、寝てる間に同じ姿勢を続けなければならなくなってしまうからです。
沢山寝返りをして、腰にかかり続ける負担を減らしてあげましょう。
まとめ
いかがだったでしょうか?
今回は椎間板ヘルニアによる座骨神経痛についてお伝えしました。
ヘルニアはとても辛いものですが、症状を和らげる方法がいくつもあります。
是非参考にしてみてください(*^^*)