ノロウイルス食中毒に注意!感染を防ぐための加熱方法とは?
日本では、魚介類を生食する習慣がありますが、刺し身などが好きな人も多いのではありませんか?
さて、生食には美味であるというメリットだけでなく、「食中毒」のリスクを伴うことになります。
そこで、ノロウイルスの感染を防ぐための加熱方法について解説します。
■ノロウイルス食中毒の感染経路
ノロウイルス食中毒は、大きく分けて2種類の感染経路が考えられます。
1つは、ノロウイルスに汚染されたカキなどの「二枚貝」を、消毒不十分で摂取した場合です。
二枚貝は海水を吸い、その中に含まれているプランクトンを食べています。
下水の影響がある河口などの海域にはノロウイルスが浮遊しており、二枚貝は食事の際にノロウイルスも体内に取り込んでしまうのです。
ちなみに同じ貝類でもサザエなどの「巻き貝」は食事のメカニズムが異なる(海藻を食べている)ため、ノロウイルスは含まれていません。
また、ノロウイルスを持つ二枚貝は全体ではなく主に「中腸腺」という臓器にノロウイルスが溜められています。
2つ目は「調理器具からの感染」です。
いくら食べる食材がノロウイルスに汚染されていなかったとしても、それに触れる包丁やまな板などの調理器具にノロウイルスが付着していれば、食材をノロウイルスによって汚染されてしまいます。
また、調理する人の手指に付着していても同様です。
■ノロウイルスは熱に強いって聞いたことがあるけれど…?
この記事をご覧になっている人の中には、ノロウイルスが「熱に強い」ということを、どこかで見聞きしたことがあるかもしれません。
熱に強いのであれば、加熱調理・加熱処理したところでノロウイルスを撃退できないのではないかと思われるかもしれません。
ですが、加熱調理や加熱処理は、ノロウイルスを予防するために重要なポイントでもあります。
確かにノロウイルスは熱に対する耐性があるウイルスではありますが、そもそもウイルスというものは熱に弱く、その性質までは変質していません。
あくまでもウイルスの中では比較的熱に強いというだけであり、加熱処理がノロウイルス対策になることは間違いないのです。
■ノロウイルス予防になる加熱調理・加熱処理の方法
国際連合食糧農業機関と世界保健機関が設立した国際機関「コーデックス委員会」が定めた「食品中のウイルスの制御のための食品衛生一般原則の適用に関するガイドライン CXG79-2012」においては、二枚貝の加熱調理でノロウイルスを失活させるには中心部が85~90℃で、少なくとも90秒間の加熱が必要とされています。
また、調理器具の加熱処理については、85℃以上で1分間の加熱処理が推奨されています。
その際、洗剤での洗浄および塩素系消毒剤を使用しての殺菌も必要です。
また、二枚貝を扱う際には「専用の調理器具を用意する」または「調理のたびに洗浄する」などして、他の食材への汚染を遮断する必要があります。