医師直筆|獲得免疫の特徴や仕組みを簡単に分かりやすく解説
目次
☆はじめに
こんにちは!からだプランの橋本将吉と申します。普段は内科医として働いています。
今回は、「獲得免疫」というテーマについてお話したいと思います。獲得免疫の役割や仕組み、特徴について、簡単に分かりやすく解説しますので、どうぞよろしくお願い致します。
少し簡単にこのホームページのお話をしますと、からだプランは、「楽しく、正しく」をモットーに、人間の身体について(医学)、内科医の私、橋本将吉が中心になって、記事を執筆しています。
出来る限り正確に書いていますが、医学の世界は日進月歩で、いまだに改名されていない事ばかりなので、優しい気持ちで読んでくれるといいと思います。
では始めていきましょう!
まずは、そもそも免疫自体とは何か、というお話から始めたいと思います。
☆免疫とは何か、簡単に分かりやすく解説!
さて皆さん、免疫とは何かを知っていますか?
最近では、書籍やアニメなどによって、多くの人が免疫について知るようになってくれて、イチ内科医である橋本は、大変嬉しく感じております。(*´▽`*)
しかし、情報も氾濫し始めているので、ここいらで分かりやすく簡単にまとめたいと思います。
免疫とは、「ばい菌をやっつける力」であります。
からだプランは、なんて分かりやすいんでしょう。(自画自賛)
でもこれだと簡単すぎるので、少し詳細を話してみたいともいます。
この世の中には、目に見えない所で、沢山のばい菌がうごめいています。
細菌や真菌(カビ)、ウイルスや寄生虫、またはそれらが出す毒素などです。
これらは時に、人間にとっての敵となります。
医学用語では、まとめて「異物(抗原)」と呼びます。
人間は生きていく上で、沢山の異物(抗原)と戦い、勝利し、身を守り続けなければなりません。
それを「免疫」と言います。
医学的に定義すると、免疫とは「人間の身体に侵入した異物(抗原)を、排除するための抵抗」となります。
時々、からだプランはカッコいいのです。(≧▽≦)
まとめます。免疫とは、ばい菌をやっつける仕組みの事です。
それでは、次の章で、さらに免疫の仕組みを詳しく解説していきたいと思います。
☆免疫の仕組みを、少し専門的に解説!
では、本題の獲得免疫の仕組みについて話していきたいと思います。
まずは次の画像(絵の苦手な橋本の直筆ですよ)を見てください。
なんて分かりやすいのでしょう(自画自賛)。(≧▽≦)
図のように、免疫は二つに分かれています。
一つは自然免疫と言って、人間の身体に初めて入ってきてしまった異物(ばい菌の事です。医学用語に徐々に慣れてくださいね)をやっつける(排除する)仕組みの事です。
そしてもう一つが、今回のテーマである獲得免疫ですね。
獲得免疫とは、人間の身体に入ったことのある異物が、二度目の侵入の際にやっつける仕組みの事です。
つまり、「身体の中で覚えている」という凄い仕組みなのです!
そして、もう一度図を見てみてもらいたいと思います。
図によると、その獲得免疫は二つに分かれていますね。
細胞性免疫と液性免疫の二つに分かれています。
さて、その二つの免疫の仕組みが理解できれば、獲得免疫を理解したも同然です!
詳しく見ていきましょう!
○細胞性免疫の仕組み
まずは、次の図を確認しましょう。
免疫には自然免疫と獲得免疫があり、今回はその中でも細胞性免疫についての説明です。
さて、ちょっと難しくなってきたので、理解しやすいように、簡単に解説していきたいと思います。
まず、樹状細胞やマクロファージという細胞が、異物(抗原)を食べます。
この作用は貪食作用と呼ばれます。
ここまでは自然免疫の話ですね。
そして、貪食した異物(抗原)の一部を、獲得免疫を担当しているヘルパーT細胞に見せつけます。
これを医学用語で「抗原提示」と呼びます。
これにちなんで、樹状細胞やマクロファージの事を「抗原提示細胞」と呼びます。
抗原提示を受け、「抗原の情報をもらい受けた」ヘルパーT細胞は、化学物質(サイトカインと言います)を出して、キラーT細胞やマクロファージを活性化させます。
あ、人は文字や文章が苦手なので、絵を見ながら勉強してくださいませ。(*´▽`*)
活性化したマクロファージやキラーT細胞が、異物(抗原)を攻撃し、免疫を発揮します。
これが、細胞性免疫というものであります。
※ちなみに、樹状細胞やマクロファージなどの抗原提示については、自然免疫の話になりますので、こちらの自然免疫について説明した記事をご覧くださいませ。
獲得免疫の内、細胞性免疫について勉強しました。
次に、液性免疫について分かりやすくお話したいと思います。
○液性免疫とは?
さて、液性免疫を理解するために、また橋本直筆のイラストを見てほしいと思います。
あ、クオリティを求めてはいけませんよ。( ;∀;)
話しを戻しますと、液性免疫と言うのは、「B細胞と抗体が中心となる免疫反応のこと」です。
B細胞と言うのは、T細胞と同じように、白血球の中のリンパ球と言う種類の免疫細胞です。
B細胞は抗体という、異物をやっつける弓矢のようなものを作る事が出来ます。
その抗体は、二度目に侵入してきた異物に対して、すぐに攻撃を開始します。
B細胞は、どの抗体が侵入してきたのかすぐに分かるように、異物の形を覚えているので、「メモリー細胞」と呼ばれたり、「記憶細胞」と呼ばれたりしています。
細胞性免疫と液性免疫のイメージが理解できましたか?
この二つを合わせて、獲得免疫と言います。
ちょっと難しくなってきたので、少し簡単に復習しましょう。
獲得免疫には、細胞性免疫と液性免疫があります。
細胞性免疫は、ヘルパーT細胞に活性化されたマクロファージやキラーT細胞(細胞障害性T細胞)が、活躍していました。
液性免疫では、ヘルパーT細胞に活性化されたB細胞が抗体を産生し、再来した抗原に対して攻撃をする、という免疫です。
それではこれらのイメージを踏まえて、獲得免疫の特徴について説明していきたいと思います。
☆獲得免疫の特徴は?
獲得免疫の特徴は、からだプラン流に簡単にまとめると、次の四つになります。
①特異性(狙って倒す)
特異性とは、文字のごとく「狙って、異なるものだけを」攻撃するという意味です。
先程、液性免疫で免疫細胞が抗体を作っていたのを思い出してもらえると、イメージが湧きやすいと思います。
まとめると、特異性とは、再来した抗原を力強く排除するという特徴です。
②多様性(どんな相手でも倒す)
多様性とは、文字のごとく「多くの相手に」対応できるよ、と言う意味です。
B細胞が作る抗体は、尋常ではない種類の抗体を作る事が出来るので、どんな異物が体内に侵入したとしても、対応することが出来ます。
これを「多様性」と言います。
まとめると、多様性とは、どんな抗原でも排除できるという特徴です。
③免疫寛容(けれど自分は攻撃しない)
しかし、どんな敵でも対応できるよ、と聞くと、少し不安になった方もいるかもしれません。
「あれ、自分も敵と認識されてしまって、攻撃を受ける事は無いの?」
素晴らしい質問です。
実は、免疫には「免疫寛容」と言って、自分の事は攻撃しないように記憶する特徴があるのです。
この免疫寛容も、獲得免疫の一つの特徴としてあげておきたいと思います
④免疫記憶(覚えているぞ)
さて最後に、獲得免疫の大切な特徴を挙げておきたいと思います。
復習として、もう一度分かりやすいイラストを差し込んでおきたいと思います。
B細胞は記憶細胞(メモリー細胞)になって、再来した異物に対して抗体を投げつけます。
この大切な特徴を「免疫記憶」といいます。
これらの獲得免疫の特徴のお陰で、予防接種が感染による重症化を防いでくれたりします。
☆終わりに
いかがでしたでしょうか。
免疫機能というのは、色々な細胞達が関わり合って発揮しているといのが分かって頂けましたか?
しかし、免疫と言うのは、どうしてもイメージがわかないものです。
理由は、免疫機能が戦っている相手である「異物」の勉強をしていないからです。
「守るべき自分」と「戦う相手」がいて、初めて免疫なのです。
ですから、もっと詳しく免疫について勉強したければ、感染症の勉強をするのがおすすめです。
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是非ご一読くださいませ。(≧▽≦)
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一般の方でも分かりやすくなっています。
基礎知識がなくても簡単に読めるので、感染症の入門編としてお勧めです。(^^♪
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医療従事者の方にとっても、知りたかった所を改めて学び直す、いい機会になると思います。
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