こんにちは。からだプラン代表医師の橋本です。
普段は内科医として働いていますが、実は医学生向けの教育事業もしており、そこでよく相談されるのはこんな内容です。
医学生の生徒ちゃん
「せーんせい、会いに来たよ~♪」
橋本
「勉強しに来たんだろ、あんぽんたん(・ω・)」
生徒ちゃん
「いやー最近やる気出なくてさー。先生、やる気ってどうしたら出るの?」
橋本
「ふっふっふ、素晴らしい質問だ。誉めて遣わす。コラムを読むべし(・ω・)ノ」
外来でも同じように、やる気で悩んでいる患者さんが沢山います。
患者さん
「先生ご無沙汰♪私の今日の血液検査の結果どうだった?」
橋本
「どれどれ、あれ、ちょっと悪くなってない?心当たりある?」
患者さん
「あちゃー、やっぱりか。ちょっと最近たるんでたんだよね~」
橋本
「食事とか運動とか?」
患者さん
「そうそう。忘年会、新年会、さよなら会に歓迎会って。」
橋本
「ああ、会社で人数の多い部署だって言ってたっけ?」
患者さん
「そうなのよ~。運動のモチベーションも消えてしまいました。コレステロールと引き換えに。」
橋本
「さえとるやん( *´艸`)」
ということで、今回はやる気について説明したいと思います。
目次
「動機」というのは、あまり日常会話で使うような言葉ではないかもしれませんね。
「犯行動機」というように、(普通はやらないようなことを)あえてしようと思った理由というような、
とても変わった意味を持った言葉をイメージしてしまうかもしれません。
これは実は翻訳の問題で、英語でいえばモチベーション(motivation)のことです。
いろんなビジネス書や自己啓発本などでは、よく出てくる言葉ですね。
もはや日本語としても馴染みのある言葉でしょう。
「動機」というのは、実は心理学や行動分析学といった領域で非常に長きにわたって研究が重ねられてきた領域です。
人間の行動メカニズムを説明するために、「この行動の引き出すやる気の源ってなんなの?」という問いはそれだけ重要だと考えられてきたのです。
たしかに「やる気が出ない」という悩みは多くの人に共通で、
これが解消できるなら、誰にとっても人生は今よりずっと良いものになることは間違いないでしょう。
動機という言葉の意味はここまででわかったとして、では「動機付け」という言葉はどういう意味でしょう?
これは一層聞き慣れない言葉かもしれません。
一般的には、やる気というのは、自分の意思で自発的に「出す」もののように捉えられがちです。
しかし、心理学では行動科学で、動機について考えるときには必ずしもそんな風に人間のやる気を考えることはありません。
もしも無限にやる気が湧いてくるなら、そもそも「動機」について研究する意味はなくなるでしょう。
そうではなくむしろ、原因があって、それが人間の心に動機を「与える」という考え方をします。
こうして、なにかの原因によって人間の心に動機が「与えられる」ことを、「動機付け」と言います。
話はどんどん進んでいきます。いよいよ本題、外発的動機付けの話になります。
この動機付けが、「外発的」であるというのはどういうことなのでしょう。
外発的動機付けとは、読んで字のごとく「外発」、つまり自分の心の外にあるものによってなされた動機づけのことを言います。
これは、「お金を稼ぎたい」「他人から尊敬されたい」といったような、自己の外部から与えられる動機付けです。
その行動をとることそれ自体が目的となっていて、
「やっていて楽しいからやる」といったような自発性が原因になっている場合には、
内発的動機付けとされ、別のものとして区別されます。
抽象的な定義や意味だけではイマイチピンとこない…という人は、具体例を知ると良いでしょう。
例はいたってシンプルです。
外発的動機付けの例としては、「出世したい」という動機で仕事を頑張る人を思い浮かべてみましょう。
出世して職場の人から慕われたいのかもしれませんし、異性にモテたいのかもしれません。
いずれの場合にしても、「仕事することそのもの」とは異なる、
別のなにかが動機になっているのなら、それは外発的動機付けということなります。
褒められたいとか、尊敬されたいといった欲求は、
心理学用語としては、自尊欲求とか承認欲求などと言われたりします。
ところで、「残業代で稼いでほしいものを買いたい」という理由で仕事を頑張る場合にはどうでしょう。
お金をたくさん稼いで買いたいものがなんなのかはさておき、この場合にも外発的動機付けが働いているといえるでしょう。
現代人がお金を欲する理由が純粋な物欲に基づくものかはなかなか難しいところでもあるでしょう。
物それ自体が欲しいというよりは、むしろ経済的な地位の向上といったものを求めていると見るなら、
それは承認欲求などとも密接に結びついているとも言えるかもしれません。
動機付けには、外発的動機付けと内発的な動機付けの二種類がありますが、
「お金がほしいから」「有名になりたいから」「尊敬されたいから」といったように、
行為それ自体が目的ではなく、行為のその先にある結果のほうが目的となっている場合には、
それは外発的な動機であるとされます。
一方、「することそれ自体が楽しいから」といったように、
自分の自発的な満足感、主観的な幸福感のためにやっている行為については、
内発的な動機であるとされます。
もうひとつわかりやすい区別のつけかたは、「〇〇を得るために、△△する。」
というように、手段―目的関係がある場合には、外発的動機付けが働いていると考えられます。
そうではなく、行為そのものが目的となっている場合が内発的動機付けが働いていると考えられます。
もっとシンプルに考えるなら、
「仕事だと割り切って仕方なくやっていること」と
「お金にならなくてもやりたくなる趣味」
といった比較で理解してみてもよいでしょう。
このように理解してみれば、外発的な動機付けでモチベーションの維持をはかることのメリットもわかってくることでしょう。
そのメリットは、なんといっても、コントロールのしやすさにあります。
なにしろ、自分にただご褒美を用意しさえすれば、そうした動機付けは可能なのですから、なにも難しいことはありません。
「仕事終わりの合コン」というのだって、合コンが大好きなら、
乗りたくもない満員電車に乗り……会いたくもない上司や同僚に会いに行き…….といった辛い日常だったとしても、
仕事と割り切って出社するモチベーションへと変わっていくでしょう。
しかしこうしてメリットを理解できると、そのデメリットも同時にわかってきます。
外発的な動機付けは「お金のため」「世間体のため」といったように、
別のなにかを得るための手段としてやっている努力にすぎません。
そのため、目的が叶えられれば、そこで一気にモチベーションは尽きてしまうかもしれません。
また、目的が達成されたうえでモチベーションが尽きるならまだ良いですが、
「どんなに努力しても目的は達成できない」と悟ってしまった場合にも、やる気は底を尽きてしまうことでしょう。
いわゆる「挫折」というやつです。
結局のところ、
努力することそれ自体を楽しんでいる場合に比べれば、
長続きしにくいことも多く、圧倒的な分量をこなすことには不向きなのです。
ところで私たちの日常を思い返せば、
目的がなく「やることそれ自体が楽しい」といったような純粋な動機でやれることは、
趣味の時間を除けばそんなに多くはないでしょう。
ですから、これを無理に否定せず、自分のやる気を引き出す力として、うまく活用するほうが健全なはずです。
「生活のため」「目の前の目標を達成するため」といった外発的な動機付けは、
苦しい状況で自分を奮い立たせる際に、むしろ内発的な動機以上に重要な役割を果たすことも少なくないのです。
外発的な動機だけで人生が全て埋め尽くされれば、
そもそも自分がなんのために生きているのかは分からなくなってきてしまうかもしれません。
しかし一方で、内発的な動機だけでは、好きでないことで努力したり、
辛いときに耐えたりするモチベーションはなかなか得られないのが現実です。
どちらか一方だけを肯定するのではなく、
むしろ自分のやる気を引き出すものをなんでも活用することこそが日々前向きな生活を送る鍵になります。
自分のやる気の源を理解し、苦しい自分に「ご褒美」を準備するというセルフマネジメントも、時には心がけてみてはいかがでしょうか?
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